NISAで債券投資という裏技?非課税で分配金まで獲得する方法
日経新聞で債券型の投資信託の価格を調べてみましょう。その多くは1万円以下、つまり基準価格割れしています。なぜ、そんな金融商品が成り立っているのでしょうか?債券型投信の魅力を探ってみましょう。
債券投信の特長
債券とは、満期が決まっていて、定期的に利息支払われ、満期になれば額面がそのまま戻ってくる、というものです。
つまり本質的には、安定的に利息を受け取ることにメリットがある投資なのです。しかし一方、債券市場は市中の利息の影響を受け、値上がりしたり値下がりしたりします。
また、債券には信頼度の「格付け」があり、発行体の信用度によって格付けが下がれば大幅に価値が下落し、格付けが上がれば値上がりします。
そうした値動きの魅力によって債券市場で売買が成立し、債券型の投信も証券会社から発売されているのです。債券の値動きは金利と逆に動き、金利が下がれば債券価格は上がり、金利が上がれば債券価格は下がる傾向があります。
金利と債券の利息は相反するからです。債券型の投信は、複数の債券を組み合わせてリスクをできるだけ平準化しているのです。
国内債券の投信
国内債券投信とは、国債、地方債、金融債、社債、政府保証債を組み入れたファンドです。
株式や株式投信に比べて、値動きが小さく、リターンも少ないです。預貯金よりもまし、という程度でしょうか。
しかし国内債券ファンドの魅力は、その手堅さにあります。財政不安により多少海外の格付け会社が日本国債の格付けを下げても、デフォルト、破綻する可能性はまずありません。
分配金を受け取りながら長期的に少しづつでも利益を上げる、という点では、国内債券は魅力です。リスクヘッジしつつ収益性を高めるために、債券に加えて株式を組み込んだ、バランス型ともいうべきファンドもあります。
NISAで長期運用する際には、株式のみのファンドよりも安心して運用できるでしょう。
海外債券の投信
海外債券とは外国の政府や企業などが外貨建てで発行する債券に投資をするファンドです。
海外債券を、個別で購入するよりも、リスクを分散できるファンドの方が安心です。
債券の利子収入を主な収益のベースとしているのは、国内債券ファンドと同様で、債券価格の変動によって、基準化価格も変動します。
外国債券には、先進国の債券や新興国のファンドを組み入れたものが散見されます。格付けが高い国の債券を組み込んだものが多いのですが、それでも国内債券ファンドと比べると、ハイリスク・ハイリターンと言えるでしょう。
海外債券に国内債券を組み込んだファンドもあります。さらに国内外それぞれの株式と債券を組み込んだファンドもあります。
海外債券は、債券価格の値動きによって、資産価値を保つために、ファンドの構成を組み替えたり、短期債と長期債を組み合わせています。
NISAで海外債券ファンドを運用する場合は、そのファンドの構成内容や、運用面の特徴をよく理解しておくことが必要でしょう。
毎月分配型のメリット・デメリット
債券型のファンドでは、毎月分配型と呼ばれるものがあります。文字通り、ファンドに投資すれば、毎月分配金が受け取れるのです。
株の配当にも似ています。反対に、決算時に分配金を自動的に同じ投資信託の買い付けに回す(再投資)する、分配しないファンドもあります。
毎月分配型は分配金を安定して受け取れる、というだけでメリットがあるように思えます。
ところがここに大きな落とし穴があります。分配金は、信託財産から支払われます。
そのために、基準価格が下がると、その下がったファンドの信託財産からさらに分配金が支払われ、結果的に債券の基準価格が下がってしまうことにつながります。
かの代表的な毎月分配型の海外債券ファンドのグローバル・ソブリンですら、現在の基準価格は当初の半値程度まで下がっています。
しかも純資産は下がり続けています。それでも分配金を含めると、長期的には右上がりの資産価値の形成を達成しています(下がった時期もあります)。
毎月分配型の債券ファンドは、最終的に基準価格の低下は避けられないようです。
NISAで毎月分配型ファンドを運用する場合は、毎月分配金の収入を受け取った上で、5年後、10年後にファンドを売却する時点の売却益が出ない、ということを見越しておく必要があるでしょう。
だからといって、再投資型ファンドなら必ず売却益を得ることができる保証はありません。
以上のように、債券型の投資信託は、一見安全資産のように見えて、奇妙な側面やリスクがあります。
投資した商品の価格変動は株式よりも小さいとは言え、それなりに変動して損をすることもあります。損益通算ができないのが、NISA最大のデメリットですから、そこのところを覚悟する必要があります。
しかし、国内の預貯金では、ゼロ同然の金利にすら源泉税がかかるのですから、それよりはメリットのある資産形成の手法であるとも考えることができるでしょう。
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