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NISAに潜むリスク(第1回)

公開日: : デメリット , ,

実は証券業界の為のNISA

NISAのリスク 最近、日本証券業協会は女優剛力彩芽さんを使って「ニーサ1万円でも始められるのですか。やったー!私投資家デビュー!」と大喜びしているCMや、また各証券会社がテレビのCMで盛んに「NISA」(ニーサ)がとても素晴らしいもののように宣伝しているが、そんなに良いものなのでしょうか?
 このNISAは、今年1月から始まった「少額投資非課税制度」の事、投資である以上はメリットばかりでなくデメリットやリスクもあるはずなのにメリットばかりしか報道されていません
 2013年10月1日より日本版少額投資非課税制度(日本版ISA=NISA)の口座開設の受付が、安倍政権の掲げる成長戦略を後押しするように始まったが、何故このタイミングでNISAが誕生したのかと疑問を持たれる方もおられるかもしれないので、その経緯について触れていきます。

 NISAが誕生した大きな理由は、実は国民の為といったまともな理由ではなく、銀行業界と証券業界とが長年にわたって争っていた優遇税制に起因しています
 銀行業界は、預金利息が20%(15%の源泉所得税+5%の都県民税)課税なのに、証券業界だけに優遇制度(10%の軽減税率が適用され、株式投信や上場株式の売買益や分配・配当金などに対する課税が10%)が据え置かれているのは不公平税制であり、本来の20%に戻すべきだと主張していました。
 しかし銀行業界と証券業界との政治力を比較すると断然証券業界の影響力の方が強く、優遇税制はそのまま継続されていましたが、12月末で優遇税制が期限切れを迎えるタイミングで、優遇税制を廃止する見返りとしてNISA創設を銀行業界に認めさせたというのが真相だったりします。つまり投資をしやすくする為の制度とは言うものの、それは表向きの理由で、裏を返せば政治家が銀行業界を説得し証券業界との妥協を図った産物として「NISA」が誕生したという事になります。
 ただ生まれた経緯はともかく今後問題となるのは今年1月6日よりスタートした「NISA」口座の管理です。かつて民間銀行では、すべての個人に元本300万円を限度としてその利息については非課税とする「少額貯蓄非課税制度」(マル優)が認められていたが、1987年に廃止されました。また郵便局も350万円の非課税枠があったが、民営化にともない2007年に廃止されました。

 マル優が高度経済成長期における国民の貯蓄率向上に一定の役割を果たした役割は大きかったですが、当時銀行はオンライン化されておらず、300万円の枠内であればどこの金融機関でもダブって預け入れ可能。極端な例では同じ銀行の本支店でもマル優枠が開設できるなどの悪用が目立ち、その結果利息に対してはほとんど非課税に等しい杜撰な管理が行なわれていました。
 しかし、1980年代に入ると銀行のオンライン化が進み名寄せが容易になると、国税庁は毎年のように銀行などの各金融機関に調査に入り、不正に預け入れられたマル優の支払利息に対する課税分を預金者に代わり徴収。それが銀行にとって大きな負担となっており、大手行では年間数十億円、地方銀行クラスでは数億円を徴収される状況であったため、マル優制度が1997年に廃止されてほっとしたのは銀行という変な事態に…。
 銀行業界に大きな負担となったマル優制度は廃止となったが、その証券版とも言えるNISA(少額投資非課税制度)が新年の門出を祝うかのようにスタートした。

NISAの仕組み

 まずはNISA(少額投資非課税制度)が証券版のマル優制度であると説明したが、その概要について述べてみたいと思います。

★NISAとは
(1)上場株式や株式投資信託等への投資に対する税制優遇措置であり、年間100万円までの新規投資から発生した配当金や分配金、譲渡益が最大5年間非課税。
(2)NISA口座開設年の1月1日時点で、20歳以上の日本国内に住む個人。
(3)NISA口座は1人につき1口座のみ開設可能で、同時に複数の金融機関でNISA口座を開設することはできない。
(4)NISA口座は、
・第1期間 2014年~2017年
・第2期間 2018年~2021年
・第3期間 2022年~2023年
と通算10年間であり、各期間につき1つの金融機関において1回のみ開設可能。また、NISA口座内の残高を、非課税扱い(NISA口座)として他金融機関に移管することはできない。
(5)NISA口座では、毎年100万円までの新規投資が可能。
・但し、NISA口座での年間累計購入額が100万円未満であった場合、その残額を翌年以降に
 繰り越すことはできない。
・購入した商品を売却した場合、売却部分の非課税枠を再利用することはできない。
(6)NISA口座は上場株式(ETFやREITを含む)や、株式投資信託などの商品が購入対象。
(7)NISA口座で購入した上場株式や投資信託を売却した際の譲渡益は非課税となるが、譲渡
損失が発生した場合は、他口座と損益通算できない。
(8)NISA口座で保有する上場株式の配当金を非課税とするには、各証券会社の配当金受取サービス」を利用することが必要。

一見良くできたNISAに潜むリスクとは

 このように見ると確かにザルの状態であったマル優制度とは違い、一つの金融機関にしか認めない仕組みになってはいます。13年10月にNISA口座の開設申請が始まり初日だけで358万件の申し込みがあったが、約40万件に近い不備があったとも言われており、厳格な管理が今後行われるかどうかが問われることになりますが、それでも年末までには400万件を超えるほどの開設申し込みがあったとの事です。
 最近の円安・株高を背景に勢いづくアベノミクスに便乗するように、証券会社や銀行がNISA口座獲得に熱を入れているが、果たして今後NISA口座の維持管理コストを吸収できるのか、また投資家にはリスクはないのかについても検証していくことにしたいと思います。

NISAに潜むリスク第2回につづく(6日か7日あたりに追加します)

それまではNISAの落とし穴を参考にして下さい!

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